「空き家数全国一」の東京・世田谷区の現状をYouTuberが紹介 「限界集落のような光景」に驚き

5月13日、「転生のぶりん」(登録者数6万人)が「【信じれん】豪邸の空き家が大量で世田谷がヤバい。セレブたちはなぜ東京・世田谷から去ったのか…」と題する動画を公開し、東京都世田谷区の空き家の現状を紹介しました。

廃墟・寂れた街を巡る「のぶりん」

のぶりんは、かつての繁栄の面影をとどめる廃墟や、衰退の進んだ街並みを歩いて、その状況を解説する動画を中心に投稿しているYouTuberです。

今回の動画は、のぶりんのライブ配信に寄せられた地元視聴者のコメントがきっかけだったといいます。世田谷が「廃墟化している」という情報を確かめるといいますが、のぶりん自身は「正直、廃墟化は言いすぎやと思う」と、その言葉に疑問を抱きながら現地へ向かいました。

「日本一空き家が多い自治体」世田谷区

世田谷区は、空き家の数が日本で最も多い自治体で、その数はおよそ5万8000戸。ただし、世田谷区が全国一となっているのは空き家の「数」であって、「率」で見るとおよそ9.6%と全国平均を下回ります(全国の総住宅数に占める空き家の割合は13.8%)。23区で最も人口が多く、住宅の総数自体が多いことが、空き家数が突出する背景にあります。日本の住宅は、およそ10戸に1戸が空き家という現状で、空き家自体は地方を中心に、決して珍しい存在ではないとのぶりんはいいます。

のぶりんが最初に向かったのは駒沢4丁目。地元で「アニマルハウス」と呼ばれる、空き家が立ち並ぶ細い路地です。ハクビシンやタヌキ、ネズミなどの「巣窟」になっていたことが、その呼び名の由来とのこと。

実際に足を運ぶと、閑静な住宅街のすぐそばに築数十年は経っているであろう板張りの平屋住宅が並び、高い木が生い茂って薄暗くなっていました。のぶりんは「世田谷とは思えん」「地方の限界集落のような光景」と驚きます。

近隣住民への取材では、この一帯はかつて低所得者向けに整備された住宅で、現在は1人の地主が土地全体を所有していることが明かされました。

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空き家が残り続ける理由

のぶりんは、世田谷区で空き家が解体されずに残る背景をいくつか挙げています。

1つは、所有者に経済的な余裕があり、土地の値上がりを待っているケース。さらに、面積200平方メートル以下の「小規模住宅用地」では、建物を残しておくと固定資産税が更地の場合に比べておよそ4分の1に軽減されるため、空き家であっても解体しないほうが税負担が軽くなるという事情があります。

のぶりんはこの仕組みについて、景観悪化を招きかねないとして

小規模住宅用地の固定資産税の軽減っていうのは、こういう空き家には適用せん方がいいんじゃないか

との考えも示しました。

加えて、重機が入れないほど道幅が狭いと、解体に手間がかかること、現在の建築基準法の接道義務(幅4メートル以上の道路に2メートル以上接していること)を満たさず「再建築不可」となっている物件が多いことも空き家が解体されない理由だといいます。また、1981年には新耐震基準が設定されたため、それを満たさない物件のリノベーションには多額の費用がかかることなども、建物が放置される要因として説明されました。

高級住宅街に点在する「廃墟」

動画では、このほかに世田谷区内に点在する「廃墟」も取り上げられました。

10年以上前から空き家とされる「アルファロメオ邸」と呼ばれる家は、ガレージの屋根が崩落し、敷地内にイタリア車のアルファロメオが残されたままの物件。高級住宅街の一角にひっそりと佇む「ベンツの家」は、バブル期に夜逃げした一家が残したとされる廃墟で、ツタが外壁を覆い尽くし、放置されたベンツにブルーシートがかけられた状態のまま残されていました。

未解決事件の現場と、のぶりんの見立て

取材の終盤、のぶりんは上祖師谷の公園に近い一軒の家を訪れました。2000年12月に一家4人が殺害された強盗殺人事件の現場で、証拠保全などの観点から今も建物が残されています。事件は25年が経過した現在も未解決で、老朽化の進行と遺族の負担を考慮し、取り壊しも検討されている現場だと説明されました。

ちなみに、この物件を巡っては、ベトナム国籍の男2人が金品を盗もうとして侵入したとして逮捕される事件が今月起きたばかりです。(参考:読売新聞

最後にのぶりんは、世田谷区が「日本一空き家が多い自治体」とされる点について、人口が多ければそれだけ空き家の数も多くなるとし、数の多さだけで深刻さを測るのは「言葉のマジックみたいなところがある」と指摘。

一方で、世田谷区は地価が高いことや道幅が狭いことが解体を妨げ、区の約半分が高層の建物を建てにくい第1種低層住居専用地域であることも、空き家が残りやすい要因だと述べました。

動画の結びでのぶりんは「人が多いこの世田谷では仕方ないんじゃないかなということも思いました」としたうえで、「この空き家が全て綺麗に解体されて、また新しい何かに生まれ変わることを祈っております」と締めくくっています。

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