日航機123便事故から40年、元航空エンジニアが事故調報告書の矛盾を指摘 「データは嘘をつかない」

1985年8月12日に発生し、520名が犠牲となった日本航空123便墜落事故から40年。

元航空エンジニアで航空史研究家の「竺川航大」(じくせん たかひろ/登録者数2680人)氏が、公式事故調査報告書の矛盾を指摘し、自説をもって事故原因をめぐる論争に終止符を打つと宣言しています。

圧力隔壁の大穴説に異論

1985年8月12日、日本航空のジャンボ機123便が群馬県上野村の御巣鷹の尾根に墜落し、乗客乗員合わせて520人が犠牲となりました。これは単独機としては世界最悪の航空機事故として知られています。

事故調査報告書では、墜落事故の7年に起きたしりもち事故で損傷した「後部圧力隔壁」をボーイング社が不適切に修理し、その接合部から破断して大穴(1〜2m)が発生、機内の空気が急減圧。大量の空気流出が垂直尾翼や操縦系統を損傷させ、操縦不能に至ったとされています。

しかしこの説明を「工学的観点」から否定しているのが竺川航大です。竺川氏は、事故機と同じボーイング747SRの機能部品の開発を担当していたという元航空エンジニアで、YouTubeで4年前から事故の真相を追求する動画を投稿。事故から40年が間近となった今月2日には「40年論争に終止符」と題する動画を公開しました。

事故機 Kjell Nilsson – https://aviation-safety.net/photos/9304/Boeing-747-SR46-JA8119 from https://asn.flightsafety.org/asndb/327151, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=83253632による

事故調査報告書の矛盾を指摘

竺川氏によると、大穴が空いた場合、機内は約1.5秒で外気圧と同じ0.4気圧ほどとなり、乗客は失神するはずとのこと。ところが実際には爆発音が鳴ってから墜落までの約30分間、意識を保っていたという乗客・乗務員の証言があるとしています。

また、圧力隔壁が破損したタイ航空620便の事故(1986年)の事例では、破損直後に急降下して安全高度に移行しているのに対し、日航機は高度を維持していた点も状況が異なります。

こうした点から、竺川氏は大量の空気漏れは起こっておらず、「垂直尾翼取付部の疲労破壊が先に発生し、その衝撃のため圧力隔壁上部周上に生じた隙間から空気が瞬間的に漏れた」との説を唱え、隙間が開いたものの、ラムネ瓶のビー玉が密着する要領で、すぐに閉じたのではないかとしています。

一方で竺川氏は、事故機の与圧設定に問題があったことを指摘します。事故機はジャンボ機の中でも航続距離の短い「SR機」であり、ボーイング社では機内の与圧設定が低めの6.9psiと指定していました。ところが、日本航空では、国際線用の「LR機」と同じ8.9psiで運用していたとのこと。

この数値は、1平方メートルあたりそれぞれ4.9トン、6.3トンの圧力がかかることを示しており、竺川氏はこの圧力差が圧力隔壁に負担を加えたことで垂直尾翼取付部の疲労破壊に繋がったと唱えます。さらに、高頻度運航や高高度飛行が疲労蓄積を加速させたとも述べています。

データは決して嘘をつきません

こうした点から、竺川氏は「真実は報告書の外側に実在していると確信します」と断言。報告書原案が米国に送られ、NTSB(米国家運輸安全委員会)の承認を経て発行された経緯や、日本政府とJAL、ボーイング社の利害が一致した結果、圧力隔壁の修理ミス説が採用された可能性を示唆します。

当時は日本航空が民営化を控えた時期であり、事故の長期化を避けたい政府。単独の修理ミスとすることで世界中で運用されているジャンボ機への影響を抑えたいボーイング社。自社の運用ミスを公にしたくない日本航空――というのが竺川氏の考える構図です。

最後に竺川は「データは決して嘘をつきません」「物理の公理は頑固一徹で都合の良い解釈を許しません」と強調。本当の原因を突き止めて対策をしなければ、将来再び同じ事故を起こすと警鐘を鳴らします。正しい報告書へと修正できるのは「良識ある人々や遺族の方々の『普通に見る眼』であろうと思います」と述べ、「皆が納得しながら犠牲者を弔うべく、ご遺族をはじめ良識ある皆さまには、事実に沿ってシナリオの修正を実現していただきたいと思います」と呼びかけています。

YouTube