カバー、メタバース「ホロアース」を6月28日に終了 正式サービス開始から1年余り

5月14日、カバー株式会社が運営するメタバース「ホロアース」が、6月28日21時をもってサービスを終了すると発表しました。

「もうひとつのセカイ」を掲げたメタバース

ホロアースは、ホロライブなどを運営するカバー株式会社が「もうひとつのセカイ」をテーマに開発・運営してきたメタバース型のオンラインサービスです。

2022年にβ版を公開し、3年間の開発を経て2025年4月24日にVer.1.0.0をリリース。アバターでログインしたユーザーが仮想空間内を探索し、コミュニケーションや買い物を楽しめるプラットフォームとして正式サービスを開始しました。

正式版の目玉として実装されたのが、ユーザーが衣装やスタンプを制作・販売できる「ホロアースマーケットプレイス」です。ホロコイン(1コイン=2円)建ての価格設定で売買が行われ、クリエイターは収益化も可能とされていました。CTOである福田一行氏はメディアのインタビューに対し、「バーチャルワールドリアルライフ」というコンセプトを掲げ、3Dモデルや音楽、ゲームアセットなどの取り扱いを段階的に広げていく構想を語っていました。

ホロアース

正式サービス開始から約1年での幕引き

発表によると、5月14日の告知と同時に有償ホロコインの販売は即時停止。6月3日23時59分をもって公式・クリエイターアイテムの販売およびマーケットプレイス機能を停止し、6月28日21時にサービスそのものを完全終了するスケジュールが示されています。

未使用の有償ホロコインおよびクリエイターポイントについては、サービス終了直後の6月29日12時から9月30日12時までの期間に払戻し対応を予定。クリエイター向けの支払調書は2027年5月31日までダウンロードできるとされています。正式サービス開始からわずか1年余りでの幕引きとなりました。

NPC「コウゾーさん」をめぐる炎上

ホロアースといえば、昨年10月に起きた炎上騒動が思い出されます。

2025年10月23日のアップデートで追加されたNPC「コウゾーさん」が、2019年の池袋暴走事故の加害者である飯塚幸三元受刑者を強く連想させるという指摘が続出。

帽子と眼鏡をかけた高齢男性風のアバター、「コウゾー」という名前、「機械の変なところをいじって気づけばこんなところに……」「孫に任せればよかった」といったセリフなど、複数の要素が事故や裁判の経過と重なるとして批判が殺到しました。

カバーは2025年11月に緊急メンテナンスへ移行して該当NPCを削除。さらに同年12月初旬には改めて声明を発表し、「特定の人物をモデルにした事実はない」と釈明しつつも、「偶然の一致というには難しいとも言える」と一部認め、企画段階での「農場経営者」設定が実装工程で乖離していった経緯を説明しました。一連の対応にはユーザーからの不信が残り、関連イベントの延期や運営体制の見直しを求める声がくすぶり続けていました。

福田一行「これ以上の喜びはありません」

プロジェクト責任者の福田一行氏は、サービス終了の発表とあわせてユーザーに向けたメッセージを公開し、「これまで応援してくださった皆様のご期待にお応えできなかったこと、プロジェクトの責任者として、心よりお詫び申し上げます」と謝罪しています。

ホロアースが「もうひとつのセカイ」をテーマに、タレント・クリエイター・ユーザーがつながり、バーチャルの次元を越える新たな体験を生み出す場を目指して取り組んできたサービスであったと振り返り、「皆様が過ごしてくださった時間や、そこで生まれた出会いや思い出のひとつひとつは、このプロジェクトに関わった私たちにとっても、決して忘れることのできない大切なものです」と思いを綴っています。

そのうえで「ホロアースを通じて培ってきた技術や挑戦は、これからのホロライブプロダクションの取り組みの中にも活かされ、新たな体験へとつながっていくものと考えております」と述べ、開発で蓄積した知見をホロライブ全体に還元していく方針を示しました。

最後に「至らない点も多く、ご不便やご迷惑をおかけしてしまったこともあったかと思います。それでもなお、ホロアースの世界に足を運び、楽しみ、支え続けてくださったことに、心から感謝しています」と感謝を述べたうえで、「サービスという形はここで一区切りとなりますが、ホロアースで生まれた体験やつながりが、皆様の中でふとしたときに思い出されるような、そんな記憶として残っていれば、これ以上の喜びはありません」と締めくくりました。