東海オンエアに「殺害予告」で炎上したそろばんチャンピオンにインタビュー

そろばんの魅力を広めたい

吉本さんによると、実はそろばんは2000年頃から人気が再燃してきているそうです。
とはいうものの、そろばん経験者と未経験者の間の隔たりが大きいことが、業界の課題だと吉本さんは語ります。

そろばんできる人と、やったことがない人を繋ぐ存在がないんです。

今回、東海オンエアの動画が炎上したのも、そろばんの魅力が一般に知られていないことが吉本さんは考えています。

そろばん教室を開くのに、資格とかいらないんです。
だから未経験者が教える。それでやめてしまう生徒が続出する。

一方で、

そろばんがうまくなっても儲からないので、(スキルの高い指導者も)そろばん業界から去ってしまうという状況が続いています。
賞金が稼げる大会や、プロリーグを作って、技術さえあればそろばんで食べていけるようにするのが僕の夢です。

こうして、そろばんに対する真摯な情熱を語る吉本さん。東海オンエアの動画が、そんな彼の気持ちを傷つけたことは確かではないでしょうか。

 

フラッシュ暗算の世界

吉本さんにインタビューを行っているうちに、今回話題となった「そろばん」の世界についてもっといろいろ知りたくなり、教えていただくことにしました。

吉本さんが日本一の称号を与えられているのは、そろばんの中でも花形と言われる「フラッシュ暗算」という分野。
モニターに一瞬表示される複数の数字を数秒で計算するという競技です。
ギネス記録や世界記録を持つ強豪がひしめく中、吉本さんは2016年と2018年に日本チャンピオンとなっており、2018年に優勝した際は、1.85秒間に表示される3桁の数字15個を計算したそうです。

日本一になれたのはたまたまです。

謙遜する吉本さんですが、瞬きすら許されない、緊張感が漂うその競技に、体全体を小刻みに震わせながら臨む姿は、アスリートそのものです。

吉本さんはフラッシュ暗算をするとき、頭の中にそろばんを描きだし、高速で珠を弾いているそうです。
そろばんを訓練すると、そろばんが無くても頭の中のそろばんで計算できるようになり、それは通常の暗算と異なる脳の部分を使って計算するとのこと。

スマホアプリでフラッシュ暗算を実演する吉本さん

 
ちなみに日本珠算連盟はそろばんの効能として、脳の活性化をうたっています。

「有段者の珠算式アンザンは右脳を使用している」
「問題解決・発明などのヒラメキは右脳から発生すると言われており、問題解決の思考回路を最短距離で結ぶ「脳力」が開発されます。」
日本珠算連盟

フラッシュ暗算の試技を見ると、およそ人間業とは思えないので、幼少期から訓練を積んだ特殊な人しかできないのかと思いきや、吉本さん自身、今でも年々技術が向上しているそうです。

こうして詳しく聞いてみると、そろばんは決して「もうこの世界に必要のない」ものとは言えないことがわかりました。
今回の炎上をきっかけに、あらためてそろばんに興味を持つ人が増えるといいですね。
東海オンエアへの「殺すぞ」発言は、社会人として許されるものではありませんが、吉本さんのそろばんへの情熱が伝わってくるインタビューでした。

一方の東海オンエアの虫眼鏡は、YouTubeに導入された「メンバーシップ」機能をめぐり、Twitterで発言した内容が問題視されています。
(関連記事「YouTubeメンバーシップ、限定動画を誰でも見られることが判明し炎上」)

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