インド・パキスタンで生き別れになった兄弟、YouTuberの支援で75年ぶりに再会を果たす

政治的な理由で、分断されてしまった家族の再会を手助けするYouTuberの活動に注目が集まっています。

インド・パキスタンの分離独立の裏で

1947年、イギリス領インド帝国が解体され、インド連邦とパキスタンに分離独立しました。ヒンズー教徒が多い地域はインド、イスラム教徒が多い地域はパキスタン(東パキスタン・西パキスタン。東パキスタンは後にバングラデシュとして独立)となりました。その結果、1000万人以上の人々が強制的に移動させられることになり、両教徒間で数えきれないほどの衝突、虐殺、暴動が起こりました。その後、両国は3次にわたる戦争を繰り広げ、敵対的な関係は現在も続いています。

こうした経緯から、両国には分離独立によって家族と離れ離れになってしまい、75年経った今も未だに再会できていない人たちが数多く存在します。

YouTuberの手助けで75年ぶりに再会

不動産業者を営むパキスタン人のNasir Dhillonさんは、友人と共に自身のYouTubeチャンネル「Punjabi Lehar」(登録者数60万人)でこうした人々の支援をおこなっており、これまでに約300家族を再会させたといいます。

彼らのチャンネルでは、分離独立の混乱の中で家族を失った経緯を話す人たちを特集しており、行方不明の家族を探す手がかりにもなっているそうです。

インドに住むSika Khanさんと、その兄で、現在パキスタンに住むSadiq Khanさんの75年ぶりの感動的な再会動画は、350万回以上再生されています。

YouTube動画

混乱の中、父親と姉が虐殺されたため、パキスタンに逃げたという兄のSadiqさん。母親と弟のSikaさんはインドに残りましたが、母親は生後6カ月のSikaさんを残して自殺。Sikaさんは親戚に育てられたのだそうです。

Sikaさんは兄を何年も探していたもの、手がかりがつかめずにいたところ、地元の医師の助けでYouTuberのNasirさんと繋がることができたのだそう。これをきっかけに2人は、パキスタンのカルタルプール回廊で75年ぶりの再会を果たしたのです。カルタルプール回廊にはシーク教の聖地があり、シーク教の巡礼者はビザなしで訪問できるようになっていることから、生き別れになった人たちの再会の場所になっているそうです。

初めて会ったとき、私たちは抱きあって泣きました。インド・パキスタン両国は、未だに紛争が続いています。でも私たちは政治的なことは気にしません。

とSikaさん。この感動的な再会に携わったNasirさんは、AFP通信の取材に対し

彼らがカルタルプールで再会したとき、私だけでなく敷地内にいた約600人がみな、彼らの再会に涙を流しました。

と答えています。彼は、この活動はお金が目的ではなく「内なる愛情と情熱」のためだといい、

これらの話は私自身の話、あるいは私の祖父母の話のように感じているので、お年寄りを助けることは、私の祖父母の願いを叶えることだという気がします。

と語っています。