短歌一期一会

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【百人一首歌の解説(86番歌)】西行法師の歌

動画タイプ
一般
公開日時
2026年4月20日 19:00
動画長さ
12:04
再生回数
1417
高評価数
65
コメント数
-
エンゲージメント率
4.6%
データ確認日時
2026年4月27日 06:57

動画概要

今回は百人一首第86番歌、西行法師の一首をご紹介します。

西行法師(86番)『千載集』恋・926
嘆けとて 月やはものを 思はする
かこち顔なる わが涙かな

【現代語訳】
「嘆け」と言って、月が私を物思いにふけらせるのだろうか。――いや、そうではない。
(本当は恋の悩みなのに)まるで月のせいであるかのように流れる、私の涙なのだ。

【鑑賞】
この歌の魅力は、「月」と「恋心」の関係を巧みにすり替えている点にあります。
本来、涙の原因は恋の苦しさにあるにもかかわらず、それを直接言わず、「月のせいで涙がこぼれる」と言い訳する――その控えめで奥ゆかしい表現が、かえって切なさを強く伝えています。

また、「やは〜する」という反語によって、「月のせいではない」と自ら否定しながらも、なお月に心を寄せてしまう心情が表現されています。
静かな夜、月を見上げながらこぼれる涙――その情景が目に浮かぶ、繊細で美しい一首です。

【作者紹介】
西行法師(さいぎょうほうし/1118〜1190)は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した歌人です。
俗名を佐藤義清(のりきよ)といい、もとは鳥羽天皇に仕える北面の武士でしたが、23歳の若さで出家しました。

出家後は各地を旅しながら自然や人生、そして人の心の機微を詠んだ和歌を数多く残しています。
特に、恋や孤独、無常観をしみじみと表現した歌に優れ、その作品は『千載和歌集』や『新古今和歌集』にも多く収められています。

武士としての人生を捨てたからこそ見えた「人の弱さ」や「揺れる心」を、率直に、そして美しく詠み上げた歌人――それが西行法師です。
【百人一首歌の解説(86番歌)】西行法師の歌