生きて山から帰るには【山岳遭難解説】

生きて山から帰るには【山岳遭難解説】

行けるところまでのはずが…2019年甲武信ヶ岳遭難事故【地図とアニメで解説】

行けるところまでのはずが…2019年甲武信ヶ岳遭難事故【地図とアニメで解説】

動画タイプ
一般
公開日
2026年5月3日
再生回数
27万7419回
高評価数
4417
データ確認日時
2026年6月12日 22:50

動画概要

【現地取材動画】視聴者さまよりご提供いただいた実体験、奥秩父の百名山甲武信ヶ岳で2019年4月に発生した遭難事故を、アニメでわかりやすく解説します。

■Aさんの山登り情報番組Make Move
   • MakeMove  

※動画内の医療業界に関する説明について、お詫びと補足です。
本動画では、遭難体験や失敗事例を共有することの重要性を説明するため、生命に関わる分野の例として医療業界と航空業界を取り上げました。しかし、該当箇所の表現は、医療現場でインシデント・アクシデント報告や安全文化の改善に日々取り組まれている医療従事者の方々への敬意が十分ではなく、医療業界全体が失敗を共有していない、あるいは努力が足りないかのように受け取られうる内容になっていました。また、米国の医療過誤に関する推計値を紹介したことで、日本の医療現場に対する批判の根拠のように見える構成になってしまった点も、不適切でした。医療事故や医療安全をめぐる問題には、現場の安全管理体制だけでなく、訴訟リスク、医療界と法曹界における言葉の使われ方の違い、制度上の課題など、単純化できない複雑な背景があります。動画内ではその点を十分に説明できていませんでした。本来お伝えしたかったのは、「命に関わる活動では、失敗やヒヤリハットを共有し、同じ事故を繰り返さない仕組みを作ることが重要である」という趣旨でした。しかし、その伝え方において、医療従事者の方々の努力を軽んじるように受け取られかねない表現となってしまったことを、深くお詫び申し上げます。

■遭難体験募集
未来の遭難者の命を救えるかもしれません
▼投稿フォーム
https://forms.gle/3DgSUh2sXZtEmhx5A
プライバシー保護、誹謗中傷保護、報酬・謝礼などを配慮します

■ 動画内でご紹介した過去動画
👉立山中高年大量遭難事故1989年    • 山頂で豚汁!「大丈夫、行こう!」10人中8人死亡 1989年10月立山遭難事故【地図...  

<<動画で紹介しきれなかった注意事項>>
■ラッセルのマナー
雪山では、他の人のラッセルに依存せず、先頭に追いついたらラッセル交代が好印象です。
足跡にお世話になった場合、頂上の到着順は譲るなどの配慮が大切です。

■ゲイターのマジックテープ問題
スパッツやゲイターは雨や雪環境の対策として、レインパンツやハードシェルパンツの内側に装着することでマジックテープが雪で使えなくなるリスクを軽減可能です。

■避難小屋のルール・マナー

本来避難小屋の計画的宿泊はマナー違反。他の山小屋か指定されたテント場を利用すべきです。
ただし、実際のルールは避難小屋によって色々。宿泊予約が可能な避難小屋も存在します。
今回の破不山避難小屋の管理組織「秩父環境管理事務所」に条件を確認したところ、ガイドツアーなどの営利目的の利用は禁止。個人利用、特に周辺の小屋が営業していないなら、混み合っていない状況であれば禁止する理由がないとのことです。

緊急時の避難が目的の小屋のため、もし避難する登山者であふれる場合は、外部で泊まれるよう、テントは必ず持参すべきです。
冬期に薪を使ってしまったら、なかなか補給できませんので、管理組織に謝礼を兼ねて連絡しましょう。
薪が集められる季節なら、使った分以上の薪を補給して去りましょう。

避難小屋ルールの例:
北海道)
白雲岳避難小屋は予約はできませんが宿泊予定を事前連絡が必要
https://www.hakuundake.jp/複製-宿泊事前連絡のお願い
ヒサゴ沼避難小屋は宿泊施設ではない旨が明言されている
https://www.tokachi.pref.hokkaido.lg....

長野県 南アルプスの避難小屋
避難小屋は広さに限りがあり、避難先としての役割があるので、極力山小屋の利用を推奨
赤石岳避難小屋、中岳避難小屋は宿泊予約可能
高山裏避難小屋、小河内岳避難小屋は当日受付による宿泊が可能
https://www.t-forest.com/alpsinfo/cli...

東京都 奥多摩 6箇所の避難小屋は緊急避難用。緊急時以外の使用はご遠慮ください。
https://okutamavc.ces-net.jp/shelterhut

■コースタイムの把握について
登山計画時、WEBサイトらくるーとなどで確認したコースタイムをもとに、ポイント毎に目標タイムを定め、何時までにこのポイントに到着できていない場合は、どこで緊急野営するなど計画を立てます。山頂アタックも同様で、目標タイム内に登頂できなかった場合は、あと15分ぐらいで到達できる地点にいても引き返すこともあります。今回の例で言えば、雁坂峠や雁坂嶺に目標タイムを定めていれば、その時点で引き返せたかもしれません。感情や主観でその場の判断をせず、機械的なルールを設定することで「行けるところまで」という誘惑に引っ張られるリスクを軽減できます。

■医療過誤の推計値について
アメリカの医療過誤が数万~数十万という推計値は後述の4つの研究成果から幅を持たせております。
そして、動画内のテロップでもご説明しておりますが、一方、こちらもテロップ表記のみにとどめておりますが、国内での信頼がおけた情報元としましては、
厚生労働省 診療行為に係る死亡事故症例の年間発生件数試算では1000~2000件と推計されています。(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985

1. Institute of Medicine (IOM) "To Err Is Human" 報告書(1999年)
推計値:年間 44,000〜98,000人
医療安全分野の出発点となった画期的報告書。IOMの委員会は米国で年間44,000〜98,000人が病院での医療過誤の直接的結果として死亡しており、低位推計でも当時の死因第8位に相当し、交通事故・乳がん・エイズによる死亡を上回ると報告しました。

出典リンク:IOM公式報告書(NCBI Bookshelf)To Err is Human
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NB...

2. John T. James "A New, Evidence-Based Estimate of Patient Harms"(2013年, Journal of Patient Safety)
推計値:年間 210,000〜440,000人
NASA元主任毒性学者のJames博士が、Global Trigger Toolを用いた4つの研究を再分析した推計。予防可能な医療事故により病院で年間21万〜44万人が死亡しており、これは米国の死因第3位に相当するとの結論。IOM推計の約2〜4倍に相当します。

出典リンク:
元論文(Journal of Patient Safety, James 2013):
https://journals.lww.com/journalpatie...

3. Makary & Daniel "Medical Error—the Third Leading Cause of Death in the US"(2016年, BMJ)
推計値:年間 251,454人(約25万人)
ジョンズ・ホプキンス大学の患者安全専門家が8年間の医療死亡率データを分析し、米国で年間25万人以上が医療過誤により死亡しており、CDCの第3位の死因である呼吸器疾患(年間約15万人)を上回ると算出しました。最も広く引用される推計値です。

出典リンク:
Johns Hopkins University Hub
Johns Hopkins study suggests medical errors are third-leading cause of death in U.S.
https://hub.jhu.edu/2016/05/03/medica...

4. Newman-Toker et al. "Burden of Serious Harms from Diagnostic Error"(2023年, BMJ Quality & Safety)
推計値:年間 795,000人(うち死亡 約371,000人、永続的障害 約424,000人)
最新のジョンズ・ホプキンス研究。あらゆる臨床現場(病院・クリニック)を含めて、診断エラーにより年間79.5万人の米国人が死亡または永続的障害を負っていると推計される、これは過去の推計値が4万〜400万人と幅広かったのに対し、初めての厳密な全国推計です。診断エラーのみに絞った推計で、死亡だけで約37万人。

出典リンク:
元論文(BMJ Quality & Safety)
Burden of serious harms from diagnostic error in the USA
https://qualitysafety.bmj.com/content...

■タイプチャプター
00:00 道の駅みとみの駐車場から入山
00:49 桜の季節に記録的大雪
01:15 目の前で息絶えるシカ
02:28 午後5時過ぎ、雁坂峠を越え雁坂嶺に到着
03:49 「とりあえず進もう」破風山避難小屋へ
05:05 目の前で消える仲間
06:28 はじまる低体温症の恐怖
07:20 聞こえる祭囃子
08:23 破風山避難小屋に到着
08:59 死に物狂いで破風山避難小屋に入ろうとするAさん達
09:53 破風山避難小屋に鳴り響く轟音
11:36 破風山避難小屋から賽の河原に到着
12:02 甲武信ヶ岳登頂を諦め、下山
13:32 登山後の反省会
14:11 「行けるとこまで行ってみよう」戻れば正解だったのか
15:56 引き返せない心理「プラン継続バイアス」

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危険で壮絶な救助活動をされる皆様のご無事を祈っております。
知識の有無が大切な人の命を左右することを経験し、「1人でも多くの人に命を救える知識がいきわたればいいな」という思いからこの活動は始まっています。

ナレーションはご縁があって素晴らしいナレーターさまに声を入れていただいています。その他家族と有識者の方々にもお力を借りたり、視聴者様にもご協力いただいたりしながら日々心を込めて制作しております。まだまだ至らないところが多いですが、精進できるようチーム一丸でがんばります。

運営チームは男女混成です。
高嶺スミレはスタッフの経験を投影した架空の人物となります。ご了承いただけましたら幸いです。