パクリで炎上の「G&R」
GACKTやROLANDに法的責任はあるか 【弁護士が解説】
GACKTさん、ROLANDさんが立ち上げたアパレルブランド「G&R」について、パクリ騒動がありました。
販売元であるdazzy社はデザインの模倣を認め、商品の回収・返金対応をしています。
(関連記事「GACKTとROLANDプロデュースブランドのパクリ疑惑 販売元が模倣を認め、販売中止・全額返金表明」)
この一件に関して、GACKTさんやROLANDさん、販売元であるdazzy社には法的責任が発生するのでしょうか。
服のデザインに著作権が認められることはほぼない
―まず、服のデザインを模倣する行為ですが、これはそもそも違法にならないのでしょうか。
しかし、服のデザインについては著作権法で保護されることはほとんどありません。著作権が認められるためには、その作品に芸術的・文化的な表現が施されている必要があります。大量生産される工業製品などは、たとえどんなにデザインが優れていても、基本的には著作権が認められることはありません。
服もこれと一緒で、たとえ襟やスカートの色や形がきわめて特徴的な服であったとしても、芸術的な作品というレベルまで達しない限り、その作品は著作物とはいえないことになります。
――そうなると、服や家電製品などで優れたデザインのものは、パクリ放題になってしまって、それもデザイナーにとって酷だと思うのですが。
ですので、自分が生み出したデザインを保護したい場合には、特許庁に意匠登録出願をして審査に通れば、これが認められることになります。
今回の件も、模倣された服のデザインが意匠登録されているのであれば、dazzy社のデザイナーが模倣した行為は違法になると思います。
ほとんどタッチしていないのに「プロデュース」したと言うのは?
―そうなんですね、では次に、「G&R」の商品をGACKTさん、ROLANDさん、門りょうさんがプロデュースした、と販売元であるdazzy社が表現していた点についてはどうでしょうか。お三方いわく、実際のところ「G&R」にはあまり深く関わっていなかったみたいなのですが、誇大広告にならないのでしょうか。
いわゆる誇大広告については「景品表示法」や「特定商取引法」で規制されていますが、ここで禁止されているのは、①効果や品質を偽る表現(優良誤認表示)と、②お得感を偽る表現(有利誤認表示)、大きく分けて2つです。
今回、「GACKTさん、ROLANDさん、門りょうさんがプロデュースした」という表現にとどまっているのであれば、嘘をついて消費者を欺いているとはいえず、上記①②には該当しないというのが私の見解ですね。
―なるほど。ただ、実際にお三方がそこまで深く関わっていないのに「プロデュース」という表現を用いるのは、すごく違和感を覚えます。
ただ、“プロデュース”という表現は非常にあいまいで、有名人の関わり具合にも幅があります。
たとえば、服の生地やデザイン段階から深く関わって指揮を執る場合には、「プロデュース」という表現はしっくりきますよね。
他方、既に完成されているA商品・B商品のどちらにするか、有名人が最終決定だけを行う場合であっても、(一般的な感覚とはズレているかもしれませんが)「プロデュース」といえなくもないです。
つまり、今回の件でdazzy社が嘘の広告表示をしていたとは、100パーセント言い切れないんですよね、法律で禁止されている誇大広告にあたると評価しにくいんです。
したがって、販売元であるdazzy社や、それに関わっていたGACKTさん、ROLANDさん、門りょうさんに対して法的責任が発生するのは難しいのではないか、というのが私の見解です。
もちろん、消費者やファンの方々に誤解を招いてしまったのは事実だと思うので、信用・信頼は損なってしまったかもしれませんが。
―そうなんですね。色々な法律が複雑に絡み合っていて、非常に難しいなと思いました。
親しい間柄だからといって安易に引き受けてしまうと、後々とんでもない金額を弁償したり、信用を失ってしまったりすることになるので、本当に注意が必要です。

弁護士 北川貴啓
慶應義塾大学法学部卒、明治大学法科大学院卒、神奈川県弁護士会(川崎支部)所属
■メディア実績
日本テレビ「実は私こういう者でして…」、フジテレビ「バイキング」、テレビ朝日「くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」、TBS「ゴゴスマ」ほか多数









