ローラ、TEDxで半生語る 心身の異変を経て「ありのままの姿」を受け入れるまで

6月11日、「TEDx Talks」(登録者数4440万人)の公式チャンネルで、モデルでタレントの「ローラ」(同64万人)のプレゼンテーション「自分を愛する事。そして土の上で裸足になろう!」が公開されました。ローラは、モデルやテレビの仕事に打ち込んだ末に心身の不調を抱えた経験から、自分を受け入れ、新潟の山奥で農業に向き合うようになるまでの半生を語っています。

2つのルーツと、言葉が通じなかった少女時代

ローラは1990年生まれ。日本人の母とバングラデシュ人の父のもとに双子として生まれ、両親は1歳のときに離婚したといいます。1歳から5歳までをバングラデシュの自然豊かな村で親戚に育てられ、鶏を追いかけたり、池を風呂代わりにしたりと、自然の中で過ごした幼少期を「雨の日には傘をささず外に出て、雨の恵みは全身でいっぱい感じて楽しんでいました」と振り返りました。

6歳で来日して日本の学校に入ったものの、当時話せたのはベンガル語のみ。教科書も読めず勉強に苦労する一方で、表情や手ぶりで友だちと打ち解けた経験から「人は言葉が話せなくても心と心で通じ合うことができるんだ」と学んだといいます。

多忙の果ての不調、そして渡米

16歳のとき、東京・渋谷で買い物中にモデル事務所にスカウトされ、朝は撮影、日中は高校、夜はアルバイトという日々が始まります。20歳でテレビの仕事も始まり、「1年に200本以上番組出るっていうことが何年も続きました」と、休みも取らず働き続けた当時を語りました。

ところがある日、朝起きてもワクワクしない自分に気づき、自然に笑うことも難しくなっていったといいます。睡眠薬なしでは眠れなくなり、食べては吐くことを繰り返したほか、夜間の強い歯ぎしりで歯を失ったり、人前で動悸が起きるパニック障害にも見舞われたと明かしました。「もうこのままでは危ない」と感じたローラは、仕事やお金の安定よりも自分の心と体を優先しようと考え、「自分のことを誰も知らない」アメリカへ行くことを決意したと話します。

運動と「ありのままの姿」との出会い

渡米後もカーテンを閉め切った部屋に閉じこもる日々が続き、自身がうつ病の状態にあると気づいたといいます。「私は今まで自分のことよりも周りのこと、周りの期待に合わせようと思い、完璧にしすぎてしまって、自分の心の声を無視して自分自身を大切にできていなかったのかもしれません」と、当時の自分を見つめ直しました。

転機となったのは、友人に誘われて参加した公園でのトレーニングでした。何度も通ううちに気持ちが少しずつ前向きになっていったといいます。さまざまな肌や髪の色、体型の人々が個性を生かして自信を持って街を歩く姿に「かっこいい」と感じたことから、染めていた髪をやめて自然な黒髪に戻し、カラーコンタクトもやめ、日焼けを避けていた肌も太陽に当てるように。「自分が本来持っているありのままの姿がどんどん好きになってきました」と語りました。

茶道と、雑穀・米づくりへ

自分の見た目や心を受け入れられるようになると、日本とバングラデシュという自身のルーツへの関心が高まったといいます。年に2回バングラデシュへ通って文化を学ぶ一方、日本では茶道を始めました。すべての所作が作法で決まる茶道について「この作法のおかげで過去や未来を考える余裕もなくなるから意識を今に持ってきてくれる」とし、物を丁寧に扱うことが自分の心を丁寧に扱うことにつながると感じていると述べました。

やがて関心は食へと広がります。日本の食料自給率が約38%まで下がっている現状や、「わずか3%の農家が食を支えている実情」に触れ、「自分が変わろう」と決意。アメリカで取得したばかりのグリーンカード(アメリカで無期限に居住・就労できる永住権を証明するカード)を手放し、母の故郷である新潟の山奥に移り住みました。

農家のもとで1年かけて雑穀栽培を学んだのち、高齢で米づくりができなくなった人から田んぼを借り受け、稲作にも挑戦。裸足で土に入る感覚を「ほんのり冷たくてぷにぷにで気持ちいい。なんだか土の布団に包まれてるような感覚でした」と表現しました。秋の収穫では1人で約3年分の米を収穫でき、家族や周囲の人を収穫した米で支えられるという「深い安心感」に包まれたといいます。

「土の上で裸になって自然からの愛を感じて」

一方で、畑の雑穀はサルに荒らされたり、雨の降らない猛暑で枯れたりと、思うようにいかない現実にも直面しました。20年以上雑穀を栽培する農家でさえ「こんなにもう雨が降らないなんてこの2年間が初めて」と語るほどだったといい、ローラは「普段私たちが当たり前に食べられているっていう食も当たり前じゃなくなる日がいつ来てもおかしくない」と危機感を示しました。

そのうえで、何を選び、何を食べ、どう生きるかが未来を大きく左右すると語り、最後に

もし今心が落ち込んでいたり、生きる希望を探している人がいたら是非自然の中に遊びに来て、土の上で裸になって自然からの愛をいっぱい感じてください

と呼びかけ、プレゼンテーションを締めくくりました。

コメント欄には、「なんでこんなに涙が溢れるんだ?」「声から優しさが溢れていて、なんだか泣けました」「優しい子が嫌な思いしないでいい世界になりますように」といったコメントが寄せられています。

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