棋譜利用めぐる裁判でYouTuberが勝訴 「利用は自由」

1月16日、将棋のタイトル戦の棋譜を再現して配信をおこなった男性YouTuberが、日本将棋連盟の出資を受ける「囲碁・将棋チャンネル」(登録者数5000人)の申請により動画を削除され、配信収益が損なわれたとして損害賠償を求めた裁判で、大阪地裁は約118万円の賠償を命じました。

棋譜は客観的事実

男性は2020年9月から囲碁・将棋チャンネルが配信する将棋の実況中継を基に、自身が作成した盤面に指し手を表示する動画をYouTubeなどで配信していました。これに対し、同チャンネルは著作権侵害を理由に削除を申請し、配信アーカイブは一時的に視聴不可になりました。

裁判では、男性YouTuber側が「動画は著作権を侵害するものではない」と主張しており、大阪地裁は「動画の棋譜は客観的事実で自由に利用できる」と認め、著作権侵害を理由としたチャンネル側の削除申請は虚偽事実の告知に当たると指摘。同チャンネルに約118万円の損害賠償を命じたほか、削除申請を撤回し、動画が著作権を侵害していることを第三者に告げてはならないことも命じました。(参考:京都新聞

将棋配信業界に衝撃

判決で棋譜の自由利用が認められたことについて、将棋系配信者の間では衝撃が走っています。将棋系YouTuberの「元奨励会員アユムの将棋実況」(同19万人)はX(旧ツイッター)を更新し、

棋譜利用は自由なんですね。まだ地裁とはいえ 驚きの判決。 私は累計で一千万円前後、棋譜利用料を払ってきたので(しかも一部の棋戦では全棋譜ではなく数手のみ) すが一体どうしたら…

と投稿しました。棋譜利用料とは棋譜を利用するためにかかる料金で、1局あたりの相場は数万円とのこと。

同じく将棋系YouTuberで弁護士の「たややん」(同6000人)も生配信を実施し、棋譜利用料のガイドラインは棋戦の主催者が一方的に決めたものであり、法的拘束力はないと解説。これまでガイドラインを守って棋譜利用料を払っていた場合も、合意に基づいてのものだったので返金はされないと考えられるとしました。

SNS上では

棋譜の著作権に関してはずっと懐疑的でした
とはいえ非公式の盤面あり配信は見る気が起きないので公式は上手く付加価値をつけて頑張ってほしいです

法的には正しくても1ファンにとってそのユーチューバーが勝っても損しかなさそうなのが悩ましいですね

これえらいことちゃいますのん?
棋譜利用自由で盤面有りの評価値放送を好き放題されるとスポンサー離れてしまうような…

といった意見が寄せられています。

ちなみにYouTubeにおける著作権侵害の虚偽の申し立てをめぐっては、編み物系YouTuber同士の裁判の事例があります。これは相手側から「身に覚えのない著作権侵害」の申立を受け、動画2本が削除されたことを不服として起こされた裁判で、結果的に、著作権侵害はなかったとして2021年12月、7万円の支払いが命じられています。

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