こころ診療所チャンネル【精神科医が心療内科・精神科を解説】

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生活がしんどい!家事ができない精神疾患3つ

動画タイプ
一般
公開日時
2026年5月29日 19:30
再生回数
6470
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195
コメント数
-
エンゲージメント率
3%
データ確認日時
2026年6月4日 04:09

動画概要

生活がしんどくなる「家事ができない精神疾患3つ」を精神科医が徹底解説。
#精神科 #家事ができない #精神疾患

0:05 (1)はじめに
0:25 (2)家事困難とその影響
3:50 (3) 家事ができない精神疾患3つ
3:59 ①うつ病
6:32 ②統合失調症
9:20 ③ADHD
12:35 (4)家事ができない時取りうる対策
14:44 (5)まとめ

洗濯や片付けなどの「家事」ができなくなると生活がしんどくなります。この「家事ができない」状態は、うつ病などの精神疾患を背景として目立つ場合もあります。

「家事ができない精神疾患3つ」について、精神科医が16分で回答しています。
出演:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)

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↓詳しい内容はこちらです。

家事ができない精神疾患3つ

(1)はじめに

精神疾患を抱えていると、日常の家事がしばしば難しくなります。掃除や食事の準備、入浴といった「当たり前にやってきたこと」がうまくできなくなり、生活がしんどくなるだけでなく、病状そのものが悪化する原因にもなります。

では、実際に家事ができなくなる主な精神疾患とは何でしょうか。今回は、家事が困難になる代表的な3つの疾患を取り上げ、その背景と、家事ができないときに取りうる対策まで整理してお伝えします。

(2)家事困難とその影響

まず「家事の困難」とは、家庭の中で日々おこなっているさまざまなことが、思うようにできなくなる状態を指します。

具体的には、片付けがうまくいかず部屋が散らかってしまう、自炊や食材選びが難しくなって食事が十分に取れなくなる、入浴の段取りが組めず身だしなみが整わなくなる、といったことが起こります。整容ができなくなることは、社会生活にも影を落とします。

こうした家事の困難は、精神疾患が原因で起こることが少なくありません。背景にあるのは脳機能の不調です。精神疾患によって脳の働きが低下すると、普段なら無意識にこなしていたことがうまくいかなくなるのです。

ここで注目したいのが、家事という営みの特性です。家事は日々繰り返し必要になるものであり、しかも何気なく見えて、実は複数の段取りを順序立ててこなすことで初めて成り立っています。調子がよければ無意識にできるこの段取りが、脳機能が不調になるとつまずきやすくなります。

その影響は広範囲に及びます。日常のことができなくなり負担が増えれば、生活習慣が乱れます。食事が取れず体調を崩したり、身だしなみの乱れから対人関係に支障が出たりもします。さらに生活の乱れが病状を悪化させ、ときには服薬すら難しくなって、いっそう状態が悪くなるという悪循環に陥ることもあるのです。

(3)家事ができない精神疾患3つ

①うつ病

1つ目はうつ病です。うつ病は、落ち込みが目立つ脳レベルの不調で、主にセロトニンの不足などが関係するとされています。単なる気分の問題ではなく、脳の働きそのものの不調である点が重要です。

症状は多岐にわたります。落ち込みや意欲の低下、不安といった「こころの症状」のほか、不眠や食欲の変化、吐き気・めまいなどの「からだの症状」も出ます。さらに集中力や思考力が落ちる、いわゆる「頭が回らない」状態も特徴です。

この意欲の低下と脳機能の不調が重なることで、家事が難しくなります。注意したいのが「微笑みうつ病」です。外では元気に振る舞えても家では不調になるタイプで、仕事はこなせるのに家事だけが極端に厳しくなる、ということが起こりやすくなります。

背景を整理すると、思考力の低下で段取りが組めなくなり、意欲の低下で最初の一歩が踏み出せず、倦怠感のために始められない・途中で疲れて中断してしまう、という三つの要素が絡んでいます。

治療の土台は、心身を休ませる休養です。そのうえで抗うつ薬による薬物療法で脳のレベルから改善を図り、精神療法では段階的なリハビリを通じて、家事の工夫を見直していきます。

②統合失調症

2つ目は統合失調症です。幻聴や妄想といった急性期の強い症状でよく知られ、背景には脳内物質ドーパミンの過剰な作用などがあるとされています。治療の柱は薬物療法で、症状の改善と再発予防の両方に欠かせません。

症状は、幻聴・妄想などの「陽性症状」、感情が動きにくくなり意欲がなくなる「陰性症状」、思考力や記憶力が低下する「認知機能障害」に分けられます。

統合失調症の家事困難は、むしろ急性期を治療で抜けた後に目立ちます。陰性症状による意欲・自発性の低下、認知機能障害による段取り能力の低下が主な背景で、人によっては残った幻聴のために集中できず家事ができないこともあります。この困難は長期間続きやすく、家のことがうまくいかないと服薬も続けにくくなり、そこから再発につながる危険もあります。

治療では、抗精神病薬を継続することが症状改善と再発予防の柱となります。病状が安定した後は段階的なリハビリで少しずつ頭と身体を動かし、陰性症状の改善を図ります。それだけでは難しい場合には、訪問看護などのサポートを導入することもあります。

③ADHD

3つ目はADHDです。生まれながらの特性による発達障害の代表的なもので、近年は大人の方、特に女性の診断が増えています。

主な症状は、集中が続かず忘れ物が目立つ「不注意」、考えがぐるぐる回る「(頭の)多動」、思いついたらすぐ動いてしまう「衝動性」です。なかでも段取りを組む「実行機能」の苦手さが、家事のやりにくさに直結します。

特に一人暮らしで困難が表面化しやすいのが特徴です。実家では周囲が手伝ってくれて気づかれないこともありますが、一人になると正面から直面します。段取りが組めず、始められても集中がすぐ逸れてしまい、うまくいかない経験が重なると家事そのものを避けるようになる、という流れが生じます。

治療でまず大事なのは、診断を受けたうえで自分の特性を理解することです。そのうえで特性をカバーする生活上の工夫を重ねていきます。ADHD治療薬が有効な場合もありますが、大人では効果に個人差があり、依存性のある薬は慎重な検討が必要です。

(4)家事ができない時取りうる対策

対策の基本は、治療で土台を整えつつ、現実的な生活の工夫を組み合わせることです。

第一に、精神疾患そのものの治療です。うつ病や統合失調症であれば、薬で症状全般の改善を図ります。ただし症状が和らいでも段取りの難しさは残ることが多いため、家事そのものへの工夫は別途必要になります。

第二に、全体的なリハビリです。病状が安定した後、徐々に身体と頭を動かしていくことで脳機能も少しずつ改善します。ただし効果が出るまでには時間差があるため、これも家事の工夫を補うものとして考えるのがよいでしょう。

第三に、家事自体の整理です。完璧を目指すと立ち行かなくなるので、「今日はこれだけ」と小さな目標を立てます。やることは優先順位の高いものに絞り、それ以外は思い切って「やらない」と決めます。残した家事も、細かくやり込まず最低限に単純化し、調子が悪くても実行しやすい形にしておくことが大切です。

(5)まとめ

家事ができず日常のことが滞ると、生活にも病状にも大きく影響します。家事が難しくなる主な精神疾患は、認知機能障害や意欲低下が背景にあるうつ病、改善後の陰性症状から長期的に困難が続く統合失調症、生来の特性で特に一人暮らしで直面しやすいADHDの3つです。

いずれの場合も、可能な治療を土台に置き、リハビリを進めながら、家事でやることを絞り単純化するという現実的な対策を組み合わせていくことが、無理なく生活を立て直す近道になります。

こころ診療所グループ(医療法人社団Heart Station)
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こころ診療所吉祥寺駅前(東京都武蔵野市吉祥寺南町1-4-3ニューセンタービル6階、☎0422-26-5695)

#うつ病  #精神科医 

【監修者】
医療法人社団Heart Station 理事長 府中こころ診療所院長 春日雄一郎
精神科医(精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医)
2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。
生活がしんどい!家事ができない精神疾患3つ